荷解きゲームしてたら突然下着(女性用)が出てくる話
ホムラの進め方は独特だった。
一応棚の中やクローゼットにものは収まっている。収まってはいるけれど、皿とTシャツが同じ場所にあるのはどういうことなのだろう。
進行を見ていくうちに、彼は用途ではなく色と形状で仕分けている、というのがわかってきた。
そもそもホムラは片付けがあまり得意ではないのだろう。普段の様子を見ていてもなんとなくわかる。
それでも本人は、僕にはどこに何があるかわかる、と言い張っているからもう何も言わないことにした。
順調かどうかはともかくゲームを進めて迎えた四ステージ目、開けた箱からブラジャーが出てくる。
「なっ……!」
ホムラは声を上げ、表情を固まらせた。
箱から何が出てきたのかはさすがに一瞬で理解したらしい。
「動揺した」
「してないよ。驚いただけだ」
そうはいいつつも、ブラジャーを持ったままのカーソルは画面上を彷徨っていた。
ひとまず一旦床の上に置き、これはあとで、と言いながら次を取り出すが、次に出てくるのもブラジャーだ。
二枚目もそっと床に置き、続けて三枚目が出てきたところで頭を抱え始めた。
そして仕方なさそうに何かしらの決意をした様子で、ブラジャーを掴んだまま部屋を移動する。
「ところで、これってどこにしまうものなのかな」
さすがにブラジャーを色だけで仕分けることはしないらしい。
言いながら、カーソルはバスルームを散策する。
洗面台の上に収納場所はなく、下にしまうのも躊躇われ、まさかタオルかけにかけるわけにもいかずに困り果てているようだ。
「ホムラは下着をバスルームにしまうの?」
「ずいぶん積極的なことを聞くんだね」
「そうじゃなくて! ブラジャーをどこにしまうのかって聞いたでしょ!」
強めに腕をつつくと、ああそういうこと、と話が先に進む。
「僕は下着も全てクローゼットにしまってるよ。うちは寝室とバスルームの距離が近いし、家の中には基本的に僕一人しかいないから、お風呂から出たらそのまま寝室に行くね」
「そのまま? 裸のままってこと?」
「そう」
きっとそれだけじゃない。ホムラのことだから、入浴中に何かを閃いたら腰にタオルだけ巻いた状態でアトリエに行って絵を描く、ということもあるだろう。
裸のまま絵を描くと汚れてもそのままお風呂に入れるから便利なんだよ、とは本人の言だ。
ブラジャーを持ったままバスルームとキッチンと居室を行ったり来たりしていた画面内のホムラは、ようやくブラジャーの収納場所を決めたらしい。
結局あれだけ悩んだのに、他のものと同じく、色だけで収められてしまった。
バスルームに白、キッチンに黒、居室にベージュのブラジャーが置かれたのを見て、ホムラは満足そうに頷いた。