荷解きゲームしてたら突然下着(女性用)が出てくる話
セイヤの部屋が散らかっているところはあまり見たことがないから、こういうゲームは得意なのだろうと思って見守っていたが、案外ゆっくりと進めている。
ひとつひとつ確認し、考え、噛み締めながら的確と思われる場所にしまっていくが、あとで入れ直すこともあった。
「実は、俺は片付けがあまり得意じゃない」
「そうなの? でも、セイヤの部屋は綺麗だよ」
そう指摘すると、セイヤは小さく頭を振った。
「『片付いている状態を維持する』のはできるんだ。『散らかったものをしまう』のは経験が浅い」
一瞬だけ画面から目を外し、セイヤの部屋を軽く見渡して、なるほど、と納得した。
確かにセイヤの部屋は比較的片付いているけれど、『収まっている』というよりは『そもそも物が少ない』という感じだ。
長く生きてはいても、この部屋に住んでいる期間は私より少し長いくらいだし、きっとひとところに留まらないように引っ越しも多いのだろう。
だからできるだけ身軽にしているのかもしれない。
休憩を挟みながら進めた四ステージ目、開けた箱から目当てのものが出てくる。
セイヤはカーソルで掴んだまま動きを止めたが、動揺しているような様子はない。
「これは……何だ?」
「え、本気で言ってる?」
その横顔は本当にわかっていないようで、しばらく見つめたあとでようやく何度か瞬きをした。
「……ああ、ブラジャーか」
何かわかったところで態度は相変わらずで、淡々とクローゼットにしまっていく。
「確かに最近は男性用のものもあるらしいからな」
その発言に動揺したのは私のほうだ。
横で思わず吹き出してしまい、変な噎せ方をしてしまった。
「セイヤ、まだこのゲームの主人公が男だって思ってる?」
「違うのか? このゲームは主人公の姿が見えないから、なんとなく自分自身だと思って始めたんだが……なるほど、俺はブラジャーを着ける人間だったらしい」
「言い方」
同じ箱から次々に出てくるブラジャーを、同じ引き出しに揃えて片付ける。
ゆっくりではあるが、落ち着いているし丁寧ではある。
このゲームにおいて丁寧さはあまり意味がないけれど。
「それなりに値が張るものだと聞いたことがある」
「まあ、そうかな?」
「少なくとも男の下着よりは高いんだろ?」
「男の人の下着の相場がわかんないけど……」
セイヤはゲームから目線と手を外し、こちらを見た。
淡く笑いながら、小首を傾げて覗き込んでくる様子に心臓が跳ねそうになる。
「新しいものが必要になったら、俺に言えばいい」
「どうして?」
「買ってくる」
「ブラジャーを!?」
さっき以上に動揺した私をからかうように、セイヤは軽く頷いただけだった。