荷解きゲームしてたら突然下着(女性用)が出てくる話
マヒルは特に悩むこともなくゲームを進めていた。
家事も得意なら掃除も大得意なマヒルのことだから、苦戦するとは全く思っていなかったけれど。
箱を開けて出てきたものを掴みながら、これはこっち、あれはあっち、といちいち口に出すのは横にいる私が退屈しないためだろう。
マヒル本人の部屋は生活感が少ないのに、ゲームの中ではぬいぐるみをベッドに置いたり、フィギュアを飾ったり、ポスターを壁にかけたりと、ちゃんと人が住んでいる部屋になっていく。
「あなたの家もこのくらい『家』になればいいのに」
「これでも、お前が来てからはだいぶものが増えたぞ」
私のものが増えたのは間違いない。単純に生活用品が二つに増えただけじゃなく、私が模型やらぬいぐるみやらあれこれ持ってくるからだ。
当初、マヒルの部屋は必要最低限なもの以外、本当に何もなかった。唯一あったのはリビングの隅に置かれたデジタルフォトフレームくらいだった。
そのフォトフレームに表示される写真もかなり増えてきた。
「私のおかげだね」
「はいはい。お前のおかげだな」
私がからかってつついても、マヒルの手は止まることはない。
そしてついに、いくつめかの箱からブラジャーが出てきた。
おもしろい反応をするだろうかとマヒルを盗み見るが、一瞬たりとも表情を変えなかった。
「これは……とりあえずクローゼットだな」
その後も続けてブラジャーが出てくるが、マヒルは迷いなく引き出しを開けてしまっていく。
「つまんない。動揺しないんだね」
その様子に足をぶらつかせながら口を尖らせると、マヒルはまた笑った。
「家にいた頃、誰が家事をやってたと思ってるんだ?」
「まあ、うん」
それでも洗濯はある程度は自分でやっていたつもりだし、私がサボっても下着だけはおばあちゃんがやってくれていたと思っていた。
けれどどうしてもおばあちゃんがいない時は、他の家事と同様に、やはりマヒルがやっていた。
今にして思えば恥ずかしい。
「うーん……」
ブラジャーを全て片付けたところで、今まで淀みなく動いていたマヒルの手が止まる。
そして今しがたブラジャーが出てきた箱をもう一度つつこうとした。
「どうしたの? 今更緊張した?」
「いや。ここに『上』の下着があるってことは、同じ箱に『下』の下着もあるんじゃないか?」
その予想は当たっていて、次に出てきたものは案の定パンティだった。
するとマヒルはパンティを一度床の上に並べ、先程しまったブラジャーも一度引き出して並べ直した。
何してるの、と聞くより早く、パズルのようにそれらを並び替える。
色や柄がある程度は揃うようになっているようだ。
「多分……これとこれ、あとこれとこれが上下セットで……残りは揃ってなさそうだから普段用の……」
並べ替えた下着を見て納得したのか、上下セットらしきものとそうじゃないもので分けてしまっていく。
ちょうど半分がセットらしき色合いになっていて、マヒルは揃っているものを上段、揃っていないものを下段にしたようだ。
言うまでもなく、それは私の下着の振り分けと同じである。
「……マヒル」
「ん?」
「ちょっと気持ち悪い」
「えっ」