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BLACKSUN

( 2022/10/31 )

全話見ました。
私は旧作のBLACKは見ておらず、ざっくりした知識しかないです。
wikiに書いてある程度の。

なのでトンチキなこと言い出すかもしれません。

まず、旧作のファンから見て、これってどうなんでしょうか?
旧作を知ってたらおもしろいとかあったんでしょうか?
正直、私はそこまでおもしろいとは思えませんでした。
いや途中まではおもしろかったんです。

今回の世界観は、人間と怪人が共存する世界。
といえば聞こえはいいですが、実際はほぼ一方的な支配です。
人間の支配下で、怪人はある程度の生存を許されていて、でも当然のように差別される。そんな世界。
ざっくり分けて、怪人を支配・統制して人身売買や兵器転用まで画策する政府。
それを知っていて、それでも怪人が少しでも生きながらえるために不利な条件を飲んで人間に媚びへつらう怪人政党・ゴルゴム。
怪人を下に見る政府のもと、怪人を差別する人間。
人間との共存を望み、差別の撤廃を求める怪人。
怪人を守るためとはいえ立場や尊厳を人間に売ったゴルゴムを憎む怪人。
こんな人々が出てきます。
出てきました、と言うべきか…まあとにかく人が死ぬ。

演出として2022年と1972年を行ったり来たりするので、ちょっとわかりづらい部分もあるかも。
森が映ったらだいたい1972年と思っておけばよさそう。
そして2つの時代を行き来しながら、なぜゴルゴムは人間に従うに至ったのか、なぜ怪人は内部分裂したのか、なぜ光太郎と信彦は、みたいなところが紐解かれていく感じです。

光太郎と信彦はとある事情から創世王を倒そうと決意しますが、現代パートにおいていろいろあって信彦は心変わり。
自分がゴルゴムのトップに立ち、更には創世王に成り代わろうとします。
このへんはまあよいのです。おもしろかったと思います。

問題は現代パートにおけるキーパーソン、というか実質的なヒロイン・葵ですが、なんというか強いです。
ヒロインの座についたばかりか、怪人化して戦闘力を手に入れて、最後には主人公格にまでなって、これがメアリー・スーでなくてなんだというのか。

最終的に信彦を倒した光太郎が創世王となり、光太郎の「創世王を倒す」という意志を継いだ葵が光太郎を倒します。
反怪人組織のトップだった男は死んで、怪人を玩具にしていた総理・堂波も死んで、ゴルゴムを仕切っていたダロムは信彦にとって変わられて、さあこれから怪人の立場が優位になって反逆だ…とはなりません。
主要人物が死んだから差別思想も薄れていってハッピーエンドに向かう…ともなりません。
差別意識はそんなに簡単じゃないのです。
少なくとも法改正はされたとしても、人の心まではすぐには変わらない。
キング牧師が頑張ったあと何十年経ってもアメリカが未だに黒人差別が根強いのを見ればわかりますな。
そんなわけで葵の戦いはまだ続く、といったエンドです。

最終話の冒頭に唐突に入った旧作のオープニングのパロディ、正直BLACKSUNの世界観には合っていなくて、いよいよ最終決戦という張り詰めた空気の中でのあれ、もうコメディにしか見えませんでした。
シリアスな笑いというのかな。ぶち壊しでした。旧作ファンなら興奮したんでかね?
そして最終話で突然移民反対に話題が移るのも意味がわかりませんでした。最終決戦から何年後とかそういう世界ですか?
堂波の亡きあと総理大臣に収まった官房長官ですが、傍らにはちゃっかりビシュム。これでいいんですか?
最終回の見どころは信彦の死だけですね。あの頃に戻りたい、と涙ながらに光太郎に告げながら絶命する姿は不覚にもうるっときました。

途中途中はおもしろかったんですが、最後が「これでいいの?」みたいな終わり方で、ちょっとがっかりでした。
劇場版ありますかね?光太郎死んだからないのかな。
だとしてもあまりに消化不良。

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