龍騎の話
( 2019/05/20 )
平成ライダー史を語る上でほぼ外せないであろう「仮面ライダー龍騎」がいかにすごいか、という話。
主観が多いです。というか、ほぼ主観です。
考察でも何でもなく、私が思うことを書いてるだけです。
突然ですが私は仮面ライダーが好きです。平成に限りますが。
TVシリーズはほぼ全話見ました。今もジオウ見てます。
どのシリーズが一番好きか、という話は置いておくとして、今回は龍騎の話。
平成ライダーの中で唯一、私が最終回でガチ号泣した龍騎です。
「平成ライダー」というとクウガから始まったものになりますが、所謂「平成ライダーっぽさ」は龍騎が草分け的存在だったと思います。
それを思い出しながら書いていこうという話。
・体外式デバイスと装着型ライダー
一番大きいものはこれだと思います。まさしく「龍騎」って感じ。
クウガ、アギト、もしかしたらそれ以前のライダーでもずっとお決まりだった「肉体改造」ではなく「体外式デバイスを用いた変身」になったこと。
変身後の姿も「肉体の変化」ではなく「パワードスーツの装着」って感じになりました。
龍騎以降、この「体外式デバイスによる変身」と「装着型変身」の方が主流になっていった印象があります。
尤も、初出は龍騎ではなくアギトのG3なんですけど…あれは「変身」っていうか、本当に装着しちゃってるからね。
この設定のすごいところとして、「デバイスさえ持っていれば誰でもライダーになれる」ってところですね。
現に主人公も偶然拾ったデッキで偶然変身しちゃいますし、555ではそれがもっと顕著です。
それ以降だと剣、カブト、電王などもこのパターンかと。
逆に龍騎以降で「肉体の変化」に近い変身をするライダーって、響鬼とゴーストくらいしかパッと出てこないです。
その二つも「肉体の変化+体外式デバイスも必要」って感じで、純粋に体ひとつで変身するライダーってもしかしたらいないかもしれないですね。THEを除いて。
鎧武やエグゼイドでは更に発展形?として、「全員がほぼ同一のシステムで変身」というのもできました。
ので、エグゼイドでは「ドライバーの交換・譲渡・略奪」みたいなことが起きました。
まあエグゼイドの場合はモチーフがゲームでしたので、ドライバーが「ゲームハード」ってとこだったんでしょうね。
余談ですが、この「変身の時にどこからともなくベルトが現れる」系ライダー、某所で「内臓内蔵式」って言われてるの見て、ちょっと笑いました。
・ライダー同士の戦い
アギト以降、複数のライダーが出てくる作品では、必ず一度は「ライダー同士の戦い」ってものが描かれます。
それは意見の食い違いだったり、誤解やすれ違いだったりで、永続的に戦い続けるものではない場合がほとんどです。
劇場版や近年のTVシリーズでは「敵もライダー」ってパターンもあるけどそれは置いておくとして。
龍騎はこの「ライダー同士の戦い」がメインで、それを売りにした作品でした。
更に先程の「誰でも変身できる」設定も相まって、劇中ではとんでもない人物が結構いました。浅倉とか。
というか基本的にみんな私利私欲のために戦ってるので、大体やべーやつでした。
この「ライダーバトルがメイン」っていう作風は、後に鎧武やエグゼイドでも用いられますが、インベスやオーバーロード、バグスターのような「共通の敵」がちゃんといて、そいつらを倒すためには一時的には共闘する、みたいな展開は、龍騎はほぼなかったです。
そもそも龍騎の敵キャラであるミラーモンスターは、共闘しなければ倒せないほど強くない場合が多く、ライダーの数が多かったのもあって、ライダーバトルの方にめちゃくちゃ比重が置かれてた印象です。
・ベルトや武器に電子音声
これも、厳密には初出はG3です。
ベルトや武器の電子音声が主流になった、という意味で龍騎。
これ以降、響鬼以外のライダーに採用されたんじゃないかな。
龍騎の時は変身時には音声がなく、技の使用時に音声が鳴りました。
ディケイドあたりからちょっと騒がしくなり、オーズあたりから歌うようになりました。
最近のはちょっとやかましすぎですね。私は龍騎から剣くらいまでのがシンプルで好きです。
・諸悪の根源が人間
宇宙からやってきた謎の存在とか、異世界からやってきた謎の存在とか、甦った古代生物によるゲームとか、神様による人類淘汰とか、そういう「人外によって引き起こされた戦い」じゃないんですよ、龍騎は。
一人の人間が、自分の欲のためだけに仮面ライダーを作り、モンスターを作り、戦わせてるわけです。
ラスボス(になるのかな)の行動原理がとにかく人間くさいんですよ。ネジは3本ぐらい飛んでますが。
もっと言うと、ミラーモンスターには圧倒的力を持ったボスとか、圧倒的頭脳を持ったボスとか、そういうのがいないんです。
最初から最後まで一人の人間がラスボスで、戦ってるのも人間で、決着つけるのも(一応)人間。
この「人間が引き起こした戦い」は剣だったりエグゼイドだったり後年にもありますが、そのへんには統制者とかゲムデウスとか、人間とは別のラスボス的存在がちゃんと用意されてました。
・人間がごちゃごちゃするストーリー
若干の語弊がありますが。人間同士の関係だけなら、555やキバの方が遥かにごちゃごちゃしてました。
ここでいうのは「個人」の話。
龍騎は「欲」がメインの話ですから、「どうしてそれを欲するのか」みたいな個人個人の話がある程度は掘り下げられたりします。
「ある程度」です。
中にはバックボーンが語られないので考察するしかないキャラとか、そもそも戦うためだけに戦ってるようなやつとか、そういうのもいましたが。
そして何故か、メインキャラの中で主人公のバックボーンがほぼ語られません。TVシリーズ版の彼は、語られるほどのものを抱えてなかったのかもしれませんが。
だとしたらライダーバトルに巻き込まれたのは本当に悲運としか。
・複雑なストーリー
良くも悪くも一本調子な勧善懲悪、というものから脱却。
といっても、アギトの頃には結構複雑なストーリーになってました。
平成一期にありがちな説明不足のおかげで、脱落者も多かったんじゃないかな。
これ以降、「第一話が始まった時点で過去に何かが起こってる」みたいなのがお決まりになりました。
第一話はあくまで「主人公が初めてライダーになった瞬間」であり、それ以前からいろいろあったよ、みたいなパターンです。
中にはウィザードやビルドみたいに、主人公がライダーになったことすら一話以前の出来事みたいなのもありましたが。
そして説明不足が招いた最終回。当時、あの最終回を見て混乱した人いっぱいいたらしいですね。
あの頃ツイッターがあったら荒れてたんだろうなあ。
・戦闘員
昭和にはよく出てきた所謂「戦闘員」ポジションのザコ敵。
クウガとアギトにはいなかった気がします。アギトの劇場版にはアントロードとかいましたけど。
ダブル以降は本格的にこのザコ敵が出てきますが、平成初出は多分龍騎。
といっても終盤だけですが。
ちなみにこのザコ敵に主人公が殺られるっていうのも、なかなか類を見ない展開ですよね。
・仮面ライダーの飛行
ガンダムでよく話題になる「飛行できるガンダムは是か否か」みたいな話。
近年のライダー、実は単独で飛行できるやつが多いんですよね。
初出は龍騎に出てくるナイトかなと思って書き出してみました。
ミラーモンスターの能力だろっていうツッコミは置いておくとします。それ言ったらみんなデバイスの能力よ。
主人公ライダーとして初めて飛行能力を手に入れたのはファイズ(ブラスターフォーム)じゃないかなあと思います。
以降もブレイド(ジャックフォーム)とかカブト(ハイパーフォーム)とか、強フォームになると飛べる傾向にあります。
ちなみにバーニアで飛ぶやつと翼で飛ぶやつと風で飛ぶやつがいますが、その話はまた今度。
・マスコットキャラ(?)の登場
「人外の協力者」が初めて出ました。
といっても龍騎の場合は契約によって結びついてるだけで、契約が切れればあっさり見限られるやつもいましたが。
ドラグレッダー以降、オートバジンやらアカネタカのような人工の協力者と、モモタロスやキバットのような完全に人外で意思もある協力者など、いろいろ出てきましたね。
そしてそれらがマスコットキャラになりがちという。
個人的にはエグゼイドに出てきたマイティが可愛くて好きです。協力者でも何でもないけど。
龍騎の中だとエビルダイバーが可愛くて好きです。
おまけ:16年後に(ほぼ)単独のスピンオフが作られる
放送終了後にスピンオフが作られる、というのは電王で試験的に始まり、Wでも取り入れられ、鎧武以降は定番化しました。
が、まさか、放送終了後16年経ってからスピンオフが出るなんて誰が予想したでしょう。
一応これは「RIDER TIME龍騎」であり、ジオウのスピンオフになるんですが、蓋を開けてみれば中身はほぼ龍騎。
全3話、時間にして約80分です。80分つったらVシネと大差ないんじゃないですか。すごい。
16年越しのスピンオフ、そして配信作品だからこその攻めすぎた内容は、各方面に夢と希望を与えました。
流れ流れた劇場版とか、俳優が引退した作品のスピンオフとか、センシティブすぎた小説版の映像化とか、そのへんもまだ諦めてないぞ。
こんなところかな。
思い出したらまた追記します。